朴槿恵大統領は「8・15光復節」の記念演説で日韓関係に触れた際、「来年は日韓国交正常化50周年を迎える」とし「両国民が新しい未来に向け共に出発する元年になることを期待する」と述べた。そして「来年、両国民が50周年を心からともに祝える」ように、日本に対し正しい歴史認識や慰安婦問題での「前向きの措置」を求めた。
いつもの日本に対する要求付きではあるが、彼女が来年の国交正常化50周年に触れたのは初めてだ。日韓関係改善に向けたそれなりのメッセージとみていい。朴槿恵大統領にとっては父・朴正煕が50年前、政治生命を賭けて決断し実現させた日韓国交正常化は格別な意味があるはずだ。その父あって今の娘である。彼女には父の”業績”を傷つけたり否定することは絶対にできない。
自ら「50周年」のことを言い出したからには、彼女にも日韓関係についてはそれなりの思いと覚悟があるだろう。日本の対韓外交はこのあたりをうまく”活用”する知恵が必要だ。
朴槿恵大統領は日本に対し”お経”のように「正しい歴史認識」を要求してきたが、日本側は日韓国交正常化50周年を機に、逆に韓国に「正しい歴史認識」を要求していい。
いや、50周年の総括には必ずそれがなければならない。「日韓50年」に対する韓国の歴史認識は無視、軽視、歪曲に満ちているからだ。
たとえば、まず1965年の国交正常化そのものについて韓国ではこれまで、当時、反対運動が激しかったことや正常化条約に日本の「謝罪と反省」が入っていなかったことなど、否定や不満、批判ばかりが語られてきた。日本との国交正常化がその後の韓国の発展に寄与したことなどまったく教えられておらず、無視されているのだ。